ご存知のとおり着物には様々な模様がありますよね。種類や格はもちろん大切ですが、やはり素人が見ても感じる印象などの大きなポイントはデザインになると思います。
今回はそんな着物のデザインに大きく関わる「染め」の種類についてご紹介します。
友禅(ゆうぜん)染め
「友禅」の名前は誰もが1度は聞いたことがあると思いますが、それだけ人気且つ高級な染めの種類になります。
京友禅
京都で生産される友禅で、とても多彩な色を用いて柔らかく華やかな雰囲気が特徴です。金箔や刺繍が使用されることも多く、柄そのものは京都の歴史感じる古き良き模様が多くみられます。
加賀友禅
石川県の金沢で発達した友禅。加賀五彩と呼ばれる5色を基本として、特に紫や緑・紅色などを使った優雅な印象が特徴で、「虫喰い(葉が虫に食われた様子を再現したもの)」という模様などが有名です。
描き友禅
その名の通り全ての工程を手で行う友禅の染色方法で、簡単に言うと下書きした絵の輪郭を細い糊でなぞり、その中を筆で染めていくというもの。各色が混ざらないため鮮やかに発色し、全て手描きなので完全に職人オリジナルの作品が出来るのが特徴で、重厚感はあまり無いため第一礼装よりも少し格下の訪問着や付け下げなどに使用されます。
型染(かたぞめ)
型染とは染めるときに型を用いる染色方法です。
江戸小紋
染に使う型には和紙を使用し、遠目には無地に見えるほど模様の細かい小紋柄。この柄をを染める際この型染めは非常に重要な要素と言われています。(小紋とは、現代で言う総柄のように上下の向き関係なく全体に散りばめられた模様のこと)
→小紋は本来、買取額でみると着物全体でも中間くらいですが、この江戸小紋は格が高いとされ少し普通の小紋とは位置づけが違いますから、染め方というより他の小紋に比べれば高額が期待できます。(一般的な小紋の買取相場価格→約6千円※良品の場合)
紅型(びんがた)
沖縄着物に代表される伝統の型染め。古くは王族や位の高い士族にしか着用が認められていなかった歴史もあり、高貴な種類としても有名。
使用する型紙は1枚のみで、そこにどんどん色を足したりぼかしたりして多とりどりの鮮やかな色彩を表現し、またつける柄が多様なのも特徴で、型紙1つの中に季節など関係なく多くの風景などが描かれます。
藍型(あいがた/えーがた)
上記の紅型が、王族などの着るものだったのに対して藍型は下級士族などが着るために作られた藍染(あいぞめ※下記で詳しく紹介)を用いる型染めのこと。紅型の種類の1つともされ、藍色一色で染められるのが特徴です。
絞り(しぼり)
布を、糸や道具でつまんで、その部分だけ染まらないようにして(防染)模様をつけるもので、どんなに高価なものでも正式な場には向かないとされています。
辻が花(つつじがばな)
絞りで模様を付け、絞りの隙間やその模様自体に墨絵を描いていくもの。一色染めではないですが、あまり多くの色が使われることは少ないとされています。
鹿の子絞り(しかのこしぼり)
絞ってできた模様が鹿の姿に似ている絞りのことで、振袖や帯揚げ(帯の上の部分の布)に使われることが多いです。
流し染(ながしぞめ)
水面に染料を垂らして、それに息を吹きかける・棒などで混ぜるなどしてできた模様を布や紙に写し取るもの。
マーブリングとも呼ばれ、流す染料や色によって何種類かまた細かく分けることができますが基本的な技法はほとんど変わりません。(例:墨流がし染め・色流し染め)水の動きに左右されるため全く同じものが作れないのも大きな特徴と言えます。
霧吹き染(きりふきぞめ)
布に直接霧吹きで染料を吹きかけたり、刷毛(はけ)を使って網目の細かい金網の上から染料を落としてぼかすなどして模様をつけます。落とし染めとも言われる。
ぼかし染
普通、色どおしが混ざらないように模様の輪郭などに付ける糊を使用せず、色の境界線をぼやけさせるもの。どこを薄く染めるかで「曙染め(あけぼのぞめ)」「裾濃(すそご)」など呼び名があります。
草木染め(くさきぞめ)
植物などを原料に天然の染料で染めるもの。中には昆虫から採取したものもありますが、ほとんどは植物から採れる染料を使用しており、有名どころに「藍」や「紅花」「茜」などがあります。
藍染め
上記草木染めの中でも有名なのがこの藍染め。ダテアイと呼ばれる徳島県で有名な植物が原料とされ、このことから徳島県は藍染の名産地として知られています。浴衣などにも使用されて、長年着ても色あせしにくいのが特徴。